「TOEICでハイスコアを取ると就職・転職に有利」と言われています。
実際のところ、人事担当者にとってTOEICのスコアは、
「この候補者には学習能力があるか?」
という意味合いで利用されることが多いです。
TOEICが転職時に評価される理由
職場で効率的に仕事を進めていったり、日々変化する法律や環境に対応していくことが求められる現在の企業社会においては、「新しいことを学ぶ能力が高いかどうか」という点が重視されます。新卒採用の際に学歴が重視されていた(いる)のもそのためです。
雇用機会の均等が叫ばれる中、「大卒以上」という足切り採用をしてしまえばその企業のイメージは著しく低下してしまいます。
そこで代わりに「候補者の学習能力を測るための指標」として使われるようになったのがTOEICです。
実際に業務で英語が必要とされるかどうかはさて置き、候補者がある一定のルールの中で効率的な結果を出せるかどうかを測る上で、TOEICは一つの有益な判断材料です。
TOEICで600点の英語力
TOEICで600点と言うと、リスニングとリーディングで300点ずつ取得できる英語力と考えることができます。
その場合の受験者の英語力は以下のように定義されています。
・短い会話において、特に語彙が難しくないときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が推測できることもある。
・長い聴解文において、情報の繰り返しや言い換えがあるときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が理解できる。
・短い会話において、簡単な、または中級レベルの語彙が使用されるときは、話の詳細が理解できる。
・長い聴解文において、情報が繰り返され、解答に必要な情報が話の最初か最後に提示されるときは、話の詳細が理解できる。情報が少し言い換えられていても、詳細が理解できる。
・限られた長さの文章においては、簡単な推測ができる。
・文章中に使われているのと同じ表現が問題に使用されているときは、事実に基づく情報に関する問題に正答できる。正しい選択肢が文章中の情報を簡単に言い換えたものであれば、事実に基づく情報に関する問題に答えられることもある。
・一つの文、または二つの文にわたる情報を関連付けることができることもある。
・簡単な語彙が理解できる。中級レベルの語彙を理解できることもある。
・よく使用される、規則に基づいた文法構造が理解できる。文法以外に難しい言語的要素(難しい語彙が使われている、情報を関連付ける必要がある)がある場合でも、文法的に正しい選択肢が選べる。
一言で言うと「簡単な単語中心の短い会話文であれば、内容を理解できる英語力」と言えます。
電話相手がゆっくり話してくれて、何回も繰り返してくれるのであれば、伝言を承ることも可能です。メールであれば、複雑な構造の文章や難解な単語が混ざっていなければ、やり取りが可能です。
例えるなら、「日本語を少し勉強してから日本に観光で来ている外国人」の日本語力に近いでしょう。身振り手振りを交えて、簡単な単語を何度も繰り返せば、コミュニケーションが成立します。
英語で行われる会議で発言したり、外国人の上司に英語で報告書を作ったりするのは難しいレベルと言えます。
ところで、大学生のTOEICの平均点は440点と言われています。
IPテストで見た大学生の平均点はどのくらいでしょう? 短大が388点、大学が440点、大学院は512点となっています。
※出展:College Cafe
TOEICを受験するような大学生は、サークル活動や飲み会で遊び呆けている大学生とは異なる層と予想されます。比較的真面目な層とも言えます。その「真面目な層」の大学生でさえ、600点には150点以上も足りません。
TOEICで600点に到達するためには、相当真面目に英語を勉強しないといけないということが言えます。
仮にTOEICで600点を取れたとしても、実際に英語の業務で頼りにされることはほとんどありません。
しかし、「平均的な大学生よりは遥かに優秀で努力ができる候補者」と評価されるには充分なスコアであることは間違いありません。