TOEFL公式ガイドブックが勧める英語上達法

「The Official Guide to the TOEFL Test (4th Edition)」という、TOEFL公式ガイドブックがあります。
TOEFL運営主体である「ETS」が出版しており、過去問や高得点を取るための上達法について詳しく書かれている、全668ページの長大な冊子です。

この記事では、「The Official Guide to the TOEFL Test」をもとに、TOEFLのスコアを上げるための学習法をお伝えします。

リーディング:スキミングと推測

  1. Increase vocabulary. Flash cards can help.
  2. Practice skimming a passage quickly to get a general impression of the main idea instead of carefully reading each word and each sentence.
  3. Develop the ability to skim quickly and identify major points.
  4. After skimming a passage, read it again more carefully and write down the main idea, major points, and important facts.
  5. Choose some unfamiliar words in the passage and guess the meaning from the context (surrounding sentences). Then, look them up to determine their meaning.
  6. Underline all pronouns (for example, he, him, they, them) and identify the nouns to which they refer in the passage.
  7. Practice making inferences and drawing conclusions based on what is implied in the passage as a whole.

(日本語)

  1. 語彙力を強化しましょう。フラッシュカードが役に立つでしょう。
  2. スキミングの練習をしましょう。スキミングとは、各文章・単語をじっくりと読むのではなく、大まかな意図を素早く理解することです。
  3. スキミング力を高めましょう。重要な論点を素早く見極められるようにしましょう。
  4. スキミングした後、文章を注意深く読んでみましょう。重要な主張・論点・事実を書き出してみましょう。
  5. 良く分からない単語を抜き出して、意味を文脈(前後の文章)から予測してみましょう。その後で辞書を引いて意味を確認しましょう。
  6. 全ての代名詞(彼、彼らなど)に下線を引き、代名詞が文中のどの語句を指しているかを考えましょう。
  7. 文章全体から結論を推測してみましょう。

リーディングに関して、公式ガイドブックが勧めている練習法は「スキミング」です。
スキミングとは、文章をじっくり読むのではなく、ざっと眺めることで大まかな内容を読み取る読書法のことです。
一般的には「速読法」とも呼ばれます。

スキミングを身につけるには、

  • とにかく多くの文章を読む。
  • 短時間で多くの文章を読む。

この二つを繰り返し行うことが一番の近道です。

その他にも、語彙力=単語力を付けることを真っ先に挙げています。
「フラッシュカード」というのは、カードの表に英語、裏にその意味(絵または日本語)を書いたカードのことです。
日本では「単語帳」と言った方が馴染みがあるかもしれません。

分からない単語が出てきても、すぐに辞書で調べるのではなく、まずは意味を推測してみる。
すぐに辞書を引くクセがついていると、本番で分からない単語が出た時に手も足も出なくなってしまいます。
分からない単語の意味を推測してから辞書を引いてみると、推測が当たっていることがよくあります。
この方法に慣れてくると、推測が正解する確率がどんどん上がっていくのを実感できます。
こうなればしめたもので、本番で意味の分からない単語が出てきたとしても恐れる必要がなくなります。

リスニング:集中と選択

  1. Increase vocabulary.
  2. Focus on the content and flow of spoken material. Do not be distracted by the speaker’s style and delivery.
  3. Anticipate what a person is going to say as a way to stay focused.
  4. Stay active by asking yourself questions (for example, What main idea is the professor communicating?)
  5. Copy the words “main idea,” “major points,” and “important details” on different lines of paper. Listen carefully, and write these down while listening. Continue listening until all important points and details are written down and then review them.
  6. Listen to a portion of a lecture or talk and create an outline of important points, Use the outline to write a brief summary. Gradually increase the amount of the presentation you use to write the summary.

(日本語)

  1. 語彙力を高めましょう。
  2. 話されている内容や流れに集中しましょう。話し手特有の話し方に気を取られないようにしましょう。
  3. 集中力を持続するため、話し手が何を伝えようとしているのか予測しましょう。
  4. 自分に疑問をぶつけることで、積極的に聴くように心掛けましょう(例えば、教授はどんな主張を伝えようとしているのか?など)。
  5. 「主張」「論点」「重要な詳細」という言葉をメモに書き留めておきましょう。注意深く耳を傾け、これらを書き出してみましょう。全ての重要な論点や詳細を書き取れるようになるまで、繰り返し聴いてみましょう。最後に内容と照らし合わせて確認してみましょう。
  6. 講義や会話の一部を聴いてみて、重要な論点の概要を書き出してみましょう。概要を使って、簡単なまとめを書いてみましょう。聴き取りに用いる部分の量を徐々に増やしてみましょう。

リスニングにおいても、語彙力=単語力は真っ先に重要な能力として挙げられています。

リスニングのコツで多く触れられているのが「focus(集中)」と「points(論点)」です。
テスト中に「今日の夕飯は何を食べようか?」などと考えていたら、音声を聴き逃してしまいます。漫然と聴いているだけでは、音声の主張が何なのかを理解することは難しいです。
「話し手が何を伝えようとしているのか?」という点に注目することで、集中力を高めることが可能です。

高い集中力を持続するためには、日頃から長い英語音声を聴く習慣を身につける必要があります。日頃のリスニングにおいても「聞き流す」だけではなく、主張や論点や論拠を書き出す練習が有効です。

TOEFLのリスニングセクションでは、語られる内容の中から重要な部分を選択できる力が必要になります。

スピーキング:慣用句を自然に使う

  1. Increase vocabulary and learn to use idiomatic speech appropriately.
  2. Learn grammatical structures and use them naturally when speaking.
  3. Work on pronunciation, including word stress, intonation patterns, and pauses. (There are a number of products and websites that can help you develop pronunciation skills.)
  4. When practicing for the TOEFL test using the tips above, take 15 seconds to think about what you are going to say before you speak. Write down a few key words and ideas, but do not attempt to write down exactly what you are going to say. (Raters will be able to detect responses that are read and give them a lower score.)
  5. Use signal words and expressions to introduce new information or ideas, to connect ideas, and to mark important words or ideas. This will help the listener easily follow what you are saying. (For example, “on the one hand …. ,” “but on the other hand …. ,” “what that mean is …. ,” “The first reason is …. ,” “another difference is ….”)

(日本語)

  1. 語彙力を高め、適切な言い回しを学びましょう。
  2. 文法構造を理解し、話すときに自然に使えるようになりましょう。
  3. 発音、強調すべき箇所、イントネーション、適切な間の取り方を練習しましょう。(発音の矯正に役立つ教材やウェブサイトはたくさんあります)
  4. 上に挙げたような方法で練習をする際、話す前に15秒間考える時間を取るようにしてみましょう。いくつかのキーワードや考えを書き出してみましょう。ただし、話そうとしていることをそのまま書こうとしてはいけません。(採点者は、書いたことをそのまま読んでしまっている回答者を見分けることができます。この場合、得点は低くなってしまいます。)
  5. 新たな情報や意見を話したり、複数のアイデアをつなげたり、重要な語句や考えを伝える際には、慣用句を使いましょう。そうすることで、聴き手はあなたの意図を理解しやすくなります。(例えば、「一例として・・・」、「その一方で・・・」、「このことから分かるのは・・・」、「第一の理由は・・・」、「もう一つの違いは・・・」)

TOEFLのスピーキングセクションでは、「とにかく量を話すこと」と「正確な英語を話すこと」の両方が求められます。

「量を話すこと」については、

  • 英語の文章を読んでから概略を口頭で話す
  • 英語の音声を聴いてから概要を口頭でまとめる
  • 賛成・反対に分かれるトピックについて自分の意見を口頭で話す

このような自習である程度力を伸ばすことが可能です。

ただし、「正確な英語を話すこと」に関しては、自習では限界があります。
ネイティブスピーカーの英語講師に「TOEFLのスピーキングスコアを伸ばしたい」という要望を伝え、改善のためのレッスンを受けるのが近道です。

ライティング:

  1. Increase vocabulary and knowledge of idiomatic speech so you can use it appropriately.
  2. Learn grammatical structures so well that you can use them naturally when writing.
  3. Learn the conventions of spelling, punctuation, and layout (for example, paragraph creation).
  4. Express information in an organized manner, displaying unity of thought and coherence.
  5. Use signal words and phrases, such as “on the one hand” or “in conclusion, ” to create a clear structure for your response.
  6. As you practice, ask yourself these questions:
    -Did I complete the task?
    -Did I write clearly?
    -Did I make grammatical errors?
    -Did I use words correctly?
    -Did I organize my ideas clearly and coherently?
    -Did I use the time effectively?
  7. Monitor your own progress and ask an English teacher or tutor to evaluate the writing by using the appropriate Writing rubrics. (See pages 200-201 and 209-210 for the rubrics.)

(日本語)

  1. 語彙力を高め、適切に使えるように言い回しに関する知識を身につけましょう。
  2. 文法構造を学び、文章を書くときに自然に使えるようにしましょう。
  3. スペルや句読点や文章構成を身につけましょう(例えば、段落の作り方)
  4. 整理された形で情報を伝えましょう。文章に思考の統一性や一貫性を持たせましょう。
  5. 「一例として」または「結論として」のような慣用句を使いましょう。そうすることで、分かりやすい形で回答することができます。
  6. 文章を練習する時は、次のような点に注意しましょう:
    – 指示の見落としはないか。
    – 分かりやすい文章が書けているか?
    – 文法的な誤りはないか?
    – 間違った単語を使ってないか?
    – 分かりやすく一貫した形で考えを伝えられているか?
    – 時間配分は効率的か?
  7. 適切なライティングの指示書に基づいて、英語教師にあなたの文章および進歩状態を評価してもらいましょう。(指示書については200~201ページおよび209~210ページを参照)

ライティングに関してもスピーキング同様、自習には限界があります。

“language exchange”などの文章相互校正サービスを利用するなど、信頼できるネイティブから文章を添削してもらうのが一番です。

まとめ

本書で触れられている英語上達法は記載しきれないため、一部を紹介するに留めています。

もしあなたが本気でTOEFLで高得点を取得したいのであれば、本書は必読の書と言っても良いでしょう。

書籍版は30ドル以上と高額ですが、PDF版は20ドル程度で販売しています。
私は重い本を持ち歩くのがイヤなので、PDF版を購入してタブレットにコピーして読んでいます。

出典

Official Guide to the TOEFL Test with CD-ROM (4th Edition) (TOEFL公認ガイド 第4版)CD-ROM付き