TOEICと英語力と「転職で年収アップ」の関係性

「TOEICと転職年収は無関係」という興味深いレポートを読んだので紹介します。

TOEICと転職年収は関係ない

・TOEICスコアと転職決定年収は、およそ関係のない。
・(TOEICよりも)職務経歴に基づいた、実務上での「英語力」の評価が圧倒的に重要。
・「TOEIC スコア」よりも、本人の実務上での「英語力」を評価している。

※出展:JAC「英語力・TOEIC と転職決定年収・転職決定率の関係」

このレポートでは、

  • 自己申告の「英語力」
  • TOEIC

という二種類の「英語スキル」を、転職後の年収と比較分析しています。
分析の結果、
「TOEICのスコアよりも、自己申告の英語力の方が、転職年収への影響力が大きい。」
という結論です。

自己申告の英語力の信憑性

一見、自己申告よりもTOEICの方が客観性のある指標に思えてしまいます。

しかし、転職面接で「私の英語力は上級です。」と候補者が言い切った場合、面接官から「証明して。」と言われることが確実に予想されます。
その場で英語に切り替えて面接を続行するか、これまで実務で英語力を磨いてきたことを説明するなど、「英語力」の裏付けをする必要があります。

面接担当者からすれば、候補者から直接英語で話を聞いたり、実務経験を話してもらったりする方が、TOEICよりもよっぽど信頼できる英語力の判断基準になります。
候補者にとっては、うかつに「上級です!」なんてことは言えません。英語力を証明しなければいけないからです。

そう考えれば、「自己申告の英語力」もかなり信頼できる情報として見ることができます。

ちなみに、レポート上での「英語力」は次のように定義されています。

  • 上級:ビジネス上のプレゼンテーション、交渉能力あり
  • 中級:ビジネス上でのコミュニケーション可(会議参加、上司への報告等)
  • 初級:日常会話での最低限のコミュニケーション可

TOEIC900点で自己申告「初級」の人は、TOEIC500点の人より年収が100万円低い

レポートを読んでいてちょっと切なくなったのが、

  • TOEICスコアが900点以上
  • 自己申告の英語力:初級

という方です。
TOEICスコアが500点~800点台、自己申告:初級の人と比べて、年収が100万円近く低くなってしまっています。
「せっかくがんばってTOEICのスコアを上げたのにね・・・。」と、ちょっと同情してしまいます。

ITエンジニアの場合、TOEICを持っていない方が転職に有利!?

IT系エンジニアは、TOEICテストを受けている人の方が転職成功率は低いという結果に。

※出展:DODA

これも悲しい話です。
ほとんどの職種でTOEICを受けたことのある人の方が転職成功率が高いのに、唯一ITエンジニアだけは、TOEICを受けたことがある人の方が、転職が決まる確率が低いそうです。

ITエンジニアの採用担当者からすると、「英語とかTOEICとかどうでもいいから、開発スキルをもっと伸ばせ!」という気持ちなのかもしれません。

まとめ:年収を上げるためにTOEICでハイスコアを目指すのは不毛

「実質的な英語力と、TOEICのスコアにはあまり関係がない」ということは、もはや採用担当者の間では常識になっているようです。
年収アップのためには、TOEICのスコアよりも、現実に仕事で使える「英語力」の方が圧倒的に重要ということがよく分かります。
ITエンジニアとして年収を上げたいのであれば、「本業(開発業務)にしっかり打ち込め」ということになります。