この記事では、「TOEICで高得点を取れば年収が上がる」という説について検証を行います。
「TOEICは転職に有利」とか、「TOEICで800点を取って転職したら年収が200万円アップした」とか、英語力そのものよりも転職で使える資格として注目されることが多いTOEICですが、TOEICでハイスコアを取ることは本当に年収増につながるのでしょうか。
TOEICの点数より、本人の資質が高かったからじゃないの?
大手企業の中には、一定の職階以上へ昇進するためにある程度のTOEICスコアを必要としている会社も存在しています。
800点以上:日立製作所(経営幹部)
750点以上:三菱商事(課長クラス)、楽天(上級管理職、部長級)
730点以上:住友商事(管理職)、日本IBM(次長)
700点以上:ファーストリテイリング(本部管理職)、楽天(課長級)
※出展:スタディタウン
上記のような一流企業には、昇進以前に入社すること自体が非常に困難です。
中途入社するためには、現在の会社で目覚ましい実績をあげていたり、希少価値のある能力を持っていたりする必要があります。
中途入社したあと昇進していくためには、周囲から信頼されて仕事を任されるよう、地道に仕事で成果を出し続けていかなければなりません。
実務能力が高く、実績があることがあくまでも前提であり、TOEICは追加要件でしかありません。
年収水準の高い会社に転職して年収を上げることができた人は、100パーセント「TOEIC以外の能力」も持っています。
「TOEICで良い点数さえ取れれば年収は上がるんだから、仕事はほどほどにしておこう。」などという気持ちで仕事に取り組んでいるのであれば、年収アップは当然期待できません。
年収1000万円以上はあまり参考にならない
転職サイトを運営するビズリーチが年収750万円以上のビジネスパーソンの英語力を調査したところ、英語レベルが高い人ほど年収が高く、年齢が上がるほどその傾向は顕著に高まっていることが分かった。
英語力別の平均年収をみると、ネイティブが1354万円、ビジネスレベルが1174万円、日常会話レベルが1037万円、基礎会話レベルが1003万円、英語を話さない人が976万円。ネイティブと英語を話さない人では378万円の差となった。調査対象はビズリーチ会員のビジネスパーソン11万人。調査時期は6月。
※出展:U-NOTE
出展元の「ビズリーチ」のサイトが見つからないのでこの調査の信ぴょう性のほどは定かではありませんが、「ネイティブと英語を話さない人では378万円の差」という情報があるようです。
そうは言っても、そもそもの調査対象の年収レベルが高すぎると思うのは私だけでしょうか。
最低レベルの「英語を話さない人」でも976万円ですよ。そんなにもらってるんなら、それ以上年収上げる必要ないじゃない?と思ってしまいます。
英語を話さなくても年収(ほぼ)1000万円ということは、この調査対象者達は元々ビジネススキルが高い人たちだと思われます。
「英語力よりもビジネススキルを伸ばした方が、年収アップにつながるんじゃないの?」という疑念にもつながります。
TOEICの一番の効力は「自信がつくこと」
だからと言って、TOEICに意味がないと言っているわけではありません。
TOEICで高得点を取るには、次のような流れが必要です。
- 目標を設定する。
- 日々努力を継続する。
- 目標を達成できなければ、努力の内容を改善する。
- 目標を達成する。
この流れは、仕事で目標を達成する流れに似ています。
TOEICで目標のスコアを取れるようになった人は、仕事でも目標を達成できる可能性が高いとも言えます。
TOEICの点数が高ければ、書類選考で人事担当者の目にもとまりやすくなります。
「TOEICで高得点を取った」という自負のある候補者は、面接の際にも堂々と意見を述べることができます。
TOEIC高得点で得た自信と、TOEIC以外に持っている業務上の専門知識や経験を面接官に伝えることができれば、面接に通る可能性は高くなります。
TOEICにあまり頼り過ぎるのも問題ですが、TOEIC高得点者は書類選考や面接において有利である、という点は確実に言うことができます。