「人事部はここを見ている」(溝上 憲文(著))という書籍で、英語と昇進の関係について書かれていたので引用します。
出世の決め手になるのは「仕事の実力」
石油会社の人事課長は「あくまで英語はビジネスの手段。どんなに流暢に話せても仕事ができない英語バカはだめです。TOEIC500点しかないが、アメリカで右に並ぶやつがいないほど商談をまとめている社員もいる」と言います。
(中略)
出世の決め手になるのは仕事の実力なのです。
本書の中では、
- 管理職に一定のTOEIC点数取得を義務付ける
- 中間管理職は海外拠点に派遣される可能性があるため、英語力が必要とされる
- 韓国企業に買収された会社で、英語ができない部長が左遷された
などのエピソードが紹介されています。
しかし、最終的に重要なのは「仕事ができるかどうか」だと言います。
英語ができるに越したことは無いが、「英語バカは要らない」と言い切っています。
「英語公用語化」のその後
楽天やファーストリテイリングなどは英語の公用語化を推し進めています。
しかし、社内のコミュニケーションが完全に英語中心という状況に到達するにはまだ時間が掛かりそうな状況です。
「英語でやると皆黙ってしまう。ブレストが必要なときは日本語で行い、資料だけ英語で作成してお茶を濁していたこともある」(楽天・国内営業部門社員)
※出展:プレジデントオンライン
ただし、楽天では2016年には社員のTOEICの平均点が800点を超えたとの発表がありました。
楽天では外国人社員の比率が全体の2割という事実もあり、英語の利用は今後ますます進んでいくことでしょう。
- 楽天は海外事業で赤字を出しているから英語公用語化なんてムダだったじゃないか。
- 社員に英語を強要しておきながら社長は日本語でしゃべってるじゃないか。
などの情報も目にします。
新規事業では赤字に終わる事業の方が圧倒的に多いです。しかし、一つでも黒字事業が出れば、赤字分なんてすぐに取り戻せます。
社長がルールを守らずに社員に強要しているのだとしたら問題ですが、事実かどうか分かりませんのでコメントのしようがありません。ただ、「社長」という人種は自分に都合よくルールを変えていく性質があるので、社長の理不尽さに目くじら立ててもあまり意味がないです。
ホンダ自動車も英語の公用語化を進めているようです。
ホンダは(2015年6月)29日、2020年を目標に社内の公用語を英語にすると発表した。地域をまたいだ会議やグローバルで共有する文書の作成に英語を用いる。言語を統一して地域間のコミュニケーションを密にし、グローバル化を推進する。楽天などの新興企業に続き、老舗の大手企業でも公用語を英語に切り替える動きが広がってきた。
※出展:日本経済新聞
まとめ:英語は「保険」のようなもの
大企業だろうが中小企業だろうが、英語公用語化まではいかなくても、上司がいきなり外国人になる可能性は充分に考えられます。
英語が苦手な人にとって、突然会社で英語を使わなければいけなくなる事態というのは、火事や津波や大地震などの「災害」に等しい状況ではないでしょうか。
住宅であれば「火災保険」「地震保険」などの保険で事前に備えることができます。
しかし、仕事では「英語保険」は存在しません。
自分自身で英語の勉強を毎日続けて、「災害」に備えるしかありません。