【リーマン・ブラザーズ破綻から6年】「リーマン・ショック」を英語で言うと?

lehman
(出展:ARTOBSERVED)

2008年9月15日、アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」(Lehman Brothers)が破綻しました。
今日は「敬老の日」ですが、「リーマン・ショック」から丸六年が経過した日でもあります。

“Lehman Shock”と呼ぶのは日本人だけ

海外の人は”Lehman Shock”とは言いません。
Wikipediaでも、「リーマン・ショック」の英語版は
“Bankruptcy of Lehman Brothers”(リーマン・ブラザーズの破綻)
というタイトルです。

ちなみに、”Bankruptcy of Lehman Brothers”でGoogle検索すると、
8,770,000件もの検索結果が見つかりますが、
“Lehman shock”では504,000件しか出てきません。

Yahoo知恵袋でも、
“Lehman Shock is a name Japanese people use to call global financial crisis in fall of 2008. “
(「リーマン・ショック」というのは、日本人が、2008年の世界金融危機を言う時の呼び名だよ。)
と答えている人がいるように、「ジャパニーズ・イングリッシュ」の一つのようです。

Reason 1: “shortage of liquidity”(流動性不足)

リーマン・ブラザーズ破綻の原因は、株価下落、資産価値の低下、提携先が見つからなかった事など、色々な理由が取りざたされています。

しかし、煎じ詰めて言えば、
「お金が足りなかった」ということに尽きます。

0?[Elu[5?0WDsui}ioV 0n0kpn0E?
(火の車:出展 – geocities)

“liquidity”(流動性)とは、「短期間で現金化できる資産」の事です。
簡単に言うと、銀行預金や現金などすぐに使えるお金の事です。

金融機関は、お金を貸したり借りたりして利益を出しますが、借りたお金は返さなければなりません。
返せなければ破産です。

破綻直前の有価証券報告書では、リーマン・ブラザーズは
「410億ドルの”Liquid Assets”(流動性資産)がある」
と報告していたそうですが、実際は20億ドルしか持っていませんでした。

この“balance sheet manipulation”(財務諸表の操作)の詳細は、“Valukas Report”(バルカス・レポート)に詳しく書かれています。
※バルカス・レポートとは、破産裁判所によって任命された調査官のバルカス氏(Anton Valukas)が作成した調査報告書です。

Reason 2: “mortgage securities”(不動産担保証券)

2_mortgage
(出展:Reverse Mortgage KDC)

“mortgage securities”(不動産担保証券)とは、住宅ローンを証券化した金融商品です。
「MBS」(mortgage-backed securities)とも言います。

2007年の“Subprime mortgage crisis”(サブプライム危機)により、MBSの評価額は大きく下がりました。
リーマン・ブラザーズは、このMBSを他金融機関に比べて多く保有していたため、大きなダメージを受けました。

2007年時点のリーマン・ブラザーズの総資産は約7000億ドルですが、MBSの保有額は960億ドルです。
MBSの総資産に占める割合は、約14%です。
商工中金レポートより

対して、競合のMorgan Stanley(モルガン・スタンレー:以下「MS」)、
Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス:以下「GS」)はどうでしょうか。

MSの総資産は約1兆ドル。MBSの保有額は740億ドル。
MBS割合は、7.4%です。
※総資産はFRBサイトより。2008年のデータ。

GSの総資産は約9000億ドル。MBSの保有額は580億ドル。
MBS割合は、6.4%です。
※総資産はGSのAnnual Reportより。MBSは2006年度。

リーマン・ブラザーズのMBS保有率は競合他社の約2倍と、リスクが大きい状態となっていました。

2008年5月には同じくMBS大手のBear Sterns(ベア・スターンズ)が破綻。
J. P. Morgan Chaseに救済合併されています。
リーマン・ブラザーズにも暗雲が立ち込めていました。

Reason 3: “Subprime mortgage crisis”(サブプライム危機)

3_subprimee
(出展:flicker)

上で挙げたMBSの問題の原因となったのが、この“Subprime mortgage crisis”(サブプライム危機)です。

「サブプライム危機」は、ひとことで言えば
「住宅ローンを払えなくなった人が急増して、証券化商品を通じて金融機関に大打撃を与えた」事件と言えます。

まとめ: 連鎖反応

4_puyo
(出展:Yahoo知恵袋)
Reason 1からReason 3は全てつながっています。

Reason 3 “Subprime mortgage crisis”
(サブプライム危機)
 ↓
Reason 2 “deterioration of mortgage securities”
(MBSの資産価値悪化)
 ↓
Reason 1 “shortage of liquidity”
(流動性不足)

という流れが見て取れます。
更にこの後、

「他の金融機関にも被害が飛び火」
 ↓
「世界的な長期の“Credit Crunch”(信用収縮)

というのが、“Bankruptcy of Lehman Brothers”(リーマン・ショック)の概要です。

参考サイト