「外資系トップの英語力(ISSコンサルティング著)」を読んだ

外資系トップの英語力
」という本を読みました。

外資系企業の日本法人で社長まで昇りつめるためには、どのような考え方やスキルが必要なのか。
超一流の企業人10名による、外資系企業で活躍し出世するための秘訣が詰め込まれた一冊です。
以下、内容を一部引用します。

クラフトフーズ・井上ゆかり氏:「5年間ほとんど終電の毎日でした」

5年目に念願のブランドマネージャーになるんですが、それまではほとんど終電の毎日でした。
人生で何が苦しかったかって、この5年です。
このときのことを思い出したら、どんな苦しみもまったく怖くなくなります。

英語力やスキルはもちろんのこと、外資系企業で出世するためには体力も必要とされます。
「仕事で結果さえ出せば、泥臭い努力は不要」という考えを持っているようでは、外資系で生き残ることは難しいと言えます。

グローバルコミュニケーションとは英語をしゃべることだ、と思う方もいるでしょう。
でも、相手をモチベートできないと、コミュニケーションにならないし、仕事は前にも進んでいきません。
共通の目的を見いだし、それに同意してもらって、自ら責任感を持ってもらって、モチベーションを上げて、「やるぞ」と思わせる。
そういうコミュニケーションが求められるんです。

井上氏は「コミュニケーションは英語をしゃべることではない」と言い切っています。
管理職としてチームを引っ張り成果を出すためには、仲間にモチベーションを持って働いてもらう必要があります。
「洗脳」と言えばそれまでかもしれませんが、人を引っ張っていくようなポジションに立つのであれば、このようなスキルは不可欠となってきます。

似たような業界や会社に移ると、「ああ、前の会社は」ということに必ずなるんだそうです。
そうなると、絶対にうまくいかない。これはまさにそうだと思いました。
前のゲームの仕方があるわけですね。ルールやチーム、メンバー、コーチ、フィールド。でも、会社を一歩出ると、全部違うんですよ。

日系企業ではいくら働いても、その会社内でしか使えないスキルが蓄積されていくだけ。
このような話はよく聞きますが、外資系企業であっても同様の現象は発生します。
日系企業でも外資系企業でも、転職した後で前の会社でのやり方を引きずってしまう人は一定数存在しています。
そのような人が外資系企業での出世競争を勝ち残ることは難しいでしょう。

ファイザー・梅田一郎氏:「外国人はほとんど一人もいなかった」

外資系と言っても、当時のファイザーはローカルでオペレーションされていましてね。
ラインには外国人はほとんど一人もいなかったんです。
英語もいらなかったし、英語の勉強はほとんど誰もしていなかった。
社長と一部の役員以外は。

外資系企業で働くと言っても、日本法人内部では大多数の同僚が日本人、という状況も決して珍しくはありません。

海外のオフィスの本社ビルというのは、ほとんどマネージャーしかいないんですよ。
私みたいなジュニアなマネージャーでも小さな部屋をもらって、パソコン相手に仕事をして、会議の時間に出ていくんですね。それくらい。
しいかも、日本みたいに朝から晩まで会議漬け、みたいなこともない。
気がつくと、一日の間に、いったい今日、何分英語をしゃべったか、もしかして一分切ってたんじゃないか、という日もあって。

念願かなって外資系企業の本社に転勤できたとしても、英語を使う機会が日本にいた時よりも減ってしまった、という冗談のようなケースもあります。
もしそのような状況に陥ってしまったら、現地の友人を作ったり、コミュニティ活動に積極的に参加したりするなどして、プライベートの時間で英語を使う機会を増やす必要があります。
さもなければ、日本にいた時よりも英語力が落ちてしまう可能性すらあります。

ボッシュ・織田秀明氏:「英語だけ学んだってしょうがない」

英語だけ学んだってしょうがないんですよ、実は。
もっと言えば、言葉なんてうまくなる必要はなくて、コミュニケーションこそ、できないといけないんです。
それこそ、誤解を生み出すかもしれないと思ったなら、できるだけしゃべれないほうがいいんです。
言葉は少なくする。その分、ハートを使う。

最悪なのは、英語だけできて、心がない人です。中身のない人。これは相手からも信用されない。

英語単体だけでは学んでも意味がない、織田氏はそう断言します。
英語学習よりもコミュニケーションの本質を学ぶことの方が、優先すべき事項であることに疑いの余地はありません。

ヒューレットパッカード・小出伸一氏:「議論では自分の価値を考えて発言しないといけない」

僕は営業という現場出身でした。しかも、アジアの代表。
ですから、現場をマネージしてきた人間から言わせてもらうと、現場はこうだ、お客様はこうだ、競合他社はこうだ、と現場に近い視点からディスカッションで意見をしていくと、まわりもちゃんと聞いてくれるんですね。
なぜなら、例えばコンサルティングファーム出身者は、そういう現場を見たことがないわけですから。

つまり、このディスカッションの中で自分は何で勝負すべきなのか、という自分のそのときの価値を常に考えて、言葉を発信しないといけないのが、グローバルコミュニケーションの本質なんです。
単に英語がしゃべれるとか、ディベートがうまいとか、そういうところの勝負ではない。
誰もそこに期待はしていないんですよ、日本人には(笑)

「アジア市場に精通した営業出身役員」という自分の立場を明確に意識して、会議の場では自分の価値を提供できるよう心掛けていたと言う小出氏。
「英語力+専門性」という合わせ技を惜しみなく発揮することが、外資系企業で活躍するための一つの秘訣と言えます。