外資系企業で成果を出す優秀な管理職の仕事の進め方とは?

「外資系エグゼクティブの逆転思考マネジメント」(著:櫻田毅)を読みました。
外資系企業で成果を出す「エクセレントマネージャー」の仕事の進め方や、思考法について書かれていました。本書は、外資系企業の管理職への転職を目指している方や、転職して間もない方に間違いなく役に立つ本です。
本書からいくつか抜粋します。

※出展:「外資系エグゼクティブの逆転思考マネジメント」(著:櫻田毅)

目的の単一化で明確な意思統一を図る

私がいた外資系企業の日本法人に対して、米国の親会社が与えていたミッションは、「5年間で売り上げを5倍にする」、たったこれだけでした。
その代り、全社員の頭の中には「5年で5倍」の5文字がしっかりと刻み込まれており、全体会議やパーティなどの締めの場面では、外国人社員の怪しげな音頭のもとに、「ゴネンデゴバイ!GO!GO!GO!」と全員で雄叫びを上げていました。

組織の目的が「二兎を追う」状態に陥ってしまうことはよくあります。
チーム全員の力を合わせて最大の成果を上げるためには、複数の目標を追っている暇はありません。
外資系企業では目標を一つに絞り込む組織が多く、それが利益率の高さにつながっています。

ビジョンの本質をひとことで表す

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、自分の夢を、「何でもできるパソコンを世界中の家庭に普及させる」というひとことで語り続けました。
このシンプルなひとことで自分が目指す方向をわかりやすく示し、それに共感する多くの優秀な人材を集め、世界中のパソコン市場を席巻しました。
(中略)
ビジョンを語るあなたの話に対しても、部下は「ひとことで言うと何?」と思っているはずです。

あなたはチームメンバーに目標や理念を説明する際、長々と演説をおこなってしまっていませんか?
メッセージを伝えるには、絞込みや単純化が必要です。
英語で説明しなければいけない場合、単純化することでかえって説明は楽になります。

「頑張る」ではなく「工夫する」

1997年、一度は追われたアップル・コンピュータ社にCEOとして復帰したスティーブ・ジョブズは、社内で共通認識とすべき基本的な考え方をCMや広告を通じて世に流すキャンぺ-ンを行いました。
その時のキャッチフレーズが”Think different(違うことを考えろ)”です。
”Work hard(がんばれ)”ではないのです。
その後、iPodやiPhoneなどの、世の中の流れを一変するような画期的な新商品が生まれたのはご存じのとおりです。

「頑張る」と「工夫する」の違いをよく表しているのが、アインシュタインの名言
“Insanity: doing the same thing over and over again and expecting different results.”
(「狂っている状態」とは、同じことを繰り返しながら違う結果を求めることである)
ではないでしょうか。
チームメンバーに今まで以上の成果を期待するのであれば、やり方を変えるように促す必要があります。

「難しい」ではなく「チャレンジ」

外資系の連中は、”challenge”という言葉をよく使います。
難易度の高い案件に取り組んでいる時など、「それは確かに難しいね」とは言わずに「それは確かにチャレンジだね」と言うのです。
”challenge”には「挑戦」という意味もありますが、「難しいがやりがいがあるのも」という意味もあります。難しい仕事をどれだけ目の前にしても、彼らは「難しいがやりがいがあるもの」という感覚で定義するのです。

「難しい」を「チャレンジ」と言い換える。言葉のマジックのような気もしますが、チームメンバーのモチベーションを上げるためには必要なテクニックです。

外資系の管理職は家に帰ってからも仕事

社長からもよく夜遅くにメールが飛んできていました。
定時に帰って家族と夕食を共にした後、再び自宅で仕事をしていたようです。
外資系でエグゼクティブと言われる部長、役員クラスの人は、程度の差こそあれ、同じような仕事の仕方をしています。
その分、年に一回は、2~3週間のきゅかをとるわけですが、生産性の高いチームができているからこそ、このようなメリハリをつけることができるのです。

外資系企業で管理職として出世したいのであれば、四六時中仕事のことを考える必要があります。
好きな仕事、またはやりがいのある仕事でなければ、このような働き方は難しいかもしれません。
「寝ても覚めてもその仕事のことを考え続けていられるか?」という質問にイエスと答えられる人は、出世する可能性が高いと言えるでしょう。

「次にやることは?」で会議を終える

私がいた外資系企業では、会議の終わり方に特徴がありました。
会議で取り扱う案件の責任者が参加者に次の質問を発するのです。
”What’s the next step?(では、次にやることは?)”
これは、
1)誰が
2)いつまでに
3)何を
4)どのようにするのか
ということを、役割を担うべき参加者自身に宣言させるための質問です。
そう問われた当時者は、「私が、いつまでに、何を、このような方法で行います」とその場で発言します。
会議の意味は、決められたことに従って必要な人が行動を起こすことにあります。
それを会議の責任者が説明してしまうと、参加者が自分に都合の良いように解釈して、誰も行動を起こさない「決して動かず状態」となってしまう可能性があります。

会議の進め方も、日系企業と外資系企業では全く異なります。
コスト意識の差が会議一つをとっても現れています。

議事録は要らない

会議の主催者は、会議が終了すると、自分で次の3点を箇条書きにまとめて出席者にメールで配信します。
せいぜい数行の議事メモです。
1)会議で決まったこと、そう決まった理由
2)決まったことを誰がいつまでにやるのか
3)決める必要があるが未決で残っているもの。それをどうするか
(中略)
メール作成に要する時間はせいぜい10分程度でしょうか。会議終了後すぐに作成されて、参加者に送られます。
「認識が違う場合はすぐに申し出るように」と書き添えられていますが、あいまいな決定をしていない限りそのようなケースはありません。

議事録よりも数行の「議事メモ」の方が圧倒的に効率が良い、と著者は語っています。

まとめ

転職直後は、日系企業と外資系企業の社風の差で戸惑う方も多いかもしれません。
しかし、効率的に成果を生み出すことを重視している人にとっては、外資系企業はむしろ仕事が進めやすい環境と言えます。